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モーターの調べ方

症状 : 動かない、ヒューズ(ブレーカー)が飛ぶ、開ボタンを押しても下がってしまう、スピードが遅くなった、ガーガー、ガラガラ等異音がする。

モーター (モーター回路図)

モーターには、U,V,Wのモーター線とB、Bのブレーキ線とTH、THのサーマル(温度)スイッチが付いています。

症状別に説明したいと思います。

動かない :モーターを過度に使用すると過熱してサーマルスイッチが働き制御回路に電気が回らなくなり、動かなくなります。

調べ方は、電源を切ってからTH-THの線を切り離し、テスターにて導通を調べます、導通が無い時はモーターが冷めるまで待ってから再度調べてみて下さい。

モータによってはP-Pになっている事も有ります。

冷えても導通が無い場合は、スイッチの故障ですのでモーターの取替が必要です。

応急処置は切り離したもう一方の線を短絡させます、これで一時的に動かすことが出来ます。

もう一つはモーター線、コイルが内部で切れていて動かない。

調べ方は、電源を切ってからモーター線3本を切り離します、U-V、U-W、V-Wの抵抗値をテスターで測定します、切れていれば∞Ωになっています、こうなってしまうとモーターを取替えるしか方法は有りません。

応急は手動(鎖、ハンドル)にて上げ下げするしか有りません。

ヒューズ(ブレーカー)が飛ぶ : 押しボタンスイッチを押した瞬間ヒューズが飛んでしまう場合は、モーター、ブレーキの線がショートしていると思われます。

まずモーター線のU-V、U-W、V-Wの抵抗値をテスターで測定します、モーターによって数値は違いますが、数Ω~数十Ωで有ればまずOKです、0ΩはNGです。

続いてU,V,W各線とモーターボディー間を測定します、0ΩはNG、∞ΩはOKです。

これがNGの場合もモーター交換になります、応急は手動操作にての開閉になります。

もう一つはブレーキ側がショートしている場合です。

こちらも電源を切った後ブレーキの線を切り離し導通を測定します、B-Bと各B線-モーターボディーで0ΩですとNGです。

応急処置はブレーキ線を切り離し絶縁処理をします、ブレーキ開放の手動レバーが有りますので押しボタンスイッチで動かすと同時にブレーキを開放させます、モーターが止まったらブレーキレバーも戻します。

開ボタンを押しても下がってしまう : ブレーキは正常に動作していますが、モーターが回転せずにシャッターの重さで下がって来てしまう状態です、モーター回路を調べて下さい。

スピードが遅くなった : モーターは正常に回っていますが、ブレーキが動作せずに負荷がかかっている状態です、ブレーキ回路を調べて下さい。

ガーガー、ガラガラ等の異音がする : モーター内部が破損していると思われます、良くある症状はガバナ装置の破損です、シャッターを自重降下させる時スピードが出過ぎないように遠心ブレーキが付いており、経年劣化で破損する場合があります。

調べ方はこの部分を分解して点検しなければならず、専門家に依頼して頂きたいと思います。

部品が外れているだけなら修理すれば直りますが、破損している場合はモータの取替になります。

もう一つ、モーターが焼けた様な臭いがする、手動操作の鎖、ブレーキ開放操作が全く動かない場合はモーター内部が焼付いて固着していると思われますので、取替が必要です。
 

エマゼンシースイッチ(補助リミットスイッチ)の調べ方

症状 : 動かない、シャッターで物を挟んでしまい動かなくなった、いつもより上がりすぎて動かなくなった。

上記症状はほとんどがエマゼンシースイッチ(補助リミットスイッチ)が働き動かなくなった状態です。

シャッターを閉める時物の上に降ろしてしまうと、シャッターカーテンの巻取り状態がふくらみシャッター及び周囲の物が破損しないよう動作を止めて動かなくするスイッチです。

ふくらんだ状態でエマゼンシースイッチが働かなくても、この状態で上げると通常より上がり過ぎますのでこの時もエマゼンシースイッチが働き動かなくなります。

物を挟んでしまった時、シャッターが動けば少し上げて障害物を取り必ず下まで降ろして下さい、ふくらんだ状態が治ります。

途中引っかかったり、異音がする時はシャッターカーテンが横ズレを起こしていますので、修理が必要です。

エマゼンシースイッチ (エマゼンシースイッチ)

メーカーによって形が異なりますが動作は一緒です

シャッターがふくらむとエマゼンシースイッチのピアノ線部にのしかかりスイッチが働きます。

上り過ぎると写真では見えませんが下にもピアノ線が出ており、シャッターの座板で突き上げてスイッチが働きます。

ここまでは機械的の修理方法です。

続いて電気的の調査、応急修理法の説明をして行きたいと思います。

押しボタン エマゼンシースイッチ (押しボタンスイッチ回路に入っているタイプ)

リミット エマゼンシースイッチ (リミットスイッチ回路に入っているタイプ)

エマゼンシースイッチの回路は常閉のスイッチ1つだけですので、シャッター電源を切ってからエマゼンシースイッチの電線2本を切りテスターで導通を測ります(0Ωなら正常です)0Ω以外の時切った線(エマゼンシースイッチ側で無い方)を直結してシャッターが動けばエマゼンシースイッチが不良です。

スイッチの動きが悪い場合が有りますので、手でエマゼンシースイッチをカチカチ動かしてみて下さい、治る場合が有ります。



リミットスイッチの調べ方

症状 : 上限、下限で止まらない、途中で止まってしまう、止まる位置が変わった、動かない、開くが閉まらない、閉まるが開かない等。

リミットスイッチ (リミットスイッチ回路図)

種類として3線式と4線式が有ります、リミットスイッチとしてはどちらでも調べ方は同じです。

違うのは制御盤の制御方法です、今回はリミットスイッチ単体の調べ方の紹介をしたいと思います。

まず絵を見てわかる様に、常閉のスイッチが2個付いています1つは上限用、もう1つは下限用です。

途中で止まってしまう、止まる位置が変わったなどはほとんどがリミットスイッチの不良が考えられますのでこの件は省きたいと思います、再調整してダメなら取替になると思います。修理法紹介カテゴリのリミットスイッチを参照して下さい。

上限、下限で止まらない : まずいつも止まっていた位置までシャッターを動かします、その位置で止めてからシャッターの電源を切ります、リミットスイッチの電線をすべて取外しテスターにて導通を調べます。

3線式の場合 ①-②間と①-④間の1方が(0Ω)でもう1方が(∞)で有ればリミットスイッチは問題有りません、上下のスイッチがわかれば止まる側のスイッチが(∞)になります。

4線式の場合 ①-②間と③-④間で測定します、測定結果は3線式と同じです。

開くが閉まらない、閉まるが開かない : シャッターを中間位置にて停止させます、電源を切りリミットスイッチの電線をすべて外しますこの状態で上記と同じ測定をしてすべて(0Ω)で有ればリミットスイッチは問題ありません。

(∞)が有りましたらリミットスイッチを再調整してみて下さい、ダメでしたら交換が必要です。

動かない : 両方とも(∞)が出ているか、その他の原因です。

制御盤側での調査方法と、応急処置の紹介をしたいと思います。

制御盤 (制御盤の端子図)

制御盤 ①(3線式)②(4線式)です。

動かない : 3線式の場合、リミットスイッチの①が制御盤のL1に、②がL2、④がL3につながっている事とします。(制御盤によって配列は違います)

制御盤のL1とシャッター電源ブレーカーR,S,Tのどれか1つでもシャッター電圧が有るか、無ければ制御盤不良又は電源が来ていないなどです。

電圧が有れば、シャッターを中間で止め電源ブレーカーとL2、L3それぞれを測定します、電圧が無ければリミットスイッチ又は電線が不良です。

4線式の場合、電源を切りリミットスイッチの電線をすべて外します、電源を入れてL1、2,3,4それぞれとシャッター電源ブレーカーR,S,Tのどれか1つでもシャッター電圧が2ヶ所に有るか(L1,2,3,4のどれか2ヶ所)、無ければ制御盤不良又は電源が来ていないなどです。

電圧が有れば、その2ヶ所だけ電線をつなぎます、シャッターを中間で止め電源ブレーカーと外してある電線を測定します、電圧が無ければリミットスイッチ又は電線が不良です。

次にリミットスイッチの応急処置ですが、(3線式①-L1、②-L2、④-L3)、(4線式①-L1、②-L2、③-L3、④-L4)につながっている事とします。

3線式 : 開かない時、制御盤のL1-L2を直結します。閉まらない時、L1-L3を直結します。

4線式 : 開かない時、制御盤のL1-L2を直結します。閉まらない時、L3-L4を直結します。

自動停止しませんが、これで動くようになります。

注意 : 自動停止しませんので要注意で操作して下さい。

補足 : 4線式の①と③をつなぎ一緒にする事で3線式として使用できます。



押しボタンスイッチの調べ方

症状 : 動かない、勝手に開く、勝手に閉まる、開だけ動かない、閉だけ動かない、押している時だけしか動かない、ヒューズが切れる等

押しボタンスイッチ (押しボタンスイッチ回路図)

電源を切り押しボタンスイッチ単体を外します、テスターの導通を調べる位置で各ボタンの調査をします。

勝手に開く、開かない : ①-②にテスターを当て開ボタンを押さない時(∞)、押した時(0Ω)でOKです。

勝手に閉まる、閉まらない : ①-④にテスターを当て閉ボタンで上記と同じです。

押している時だけしか動かない : ①-③にテスターを当て停ボタンを押さない状態で(0Ω)、押した時(∞)でOKです。

NGの場合はスイッチが不良です(開、停、閉のボタン1式がメーカーの最小部品です)

動かない : ③に電気が来ているか調べます。

制御盤 (制御盤の端子図)

制御盤 ①、②、③共 押しボタンスイッチの③とつながっている端子(ほとんどの制御盤はB1です)とL1,2,3のどれかとをテスター交流電圧レンジ(400V以上)で正しい電圧が来ているか確認します。

(制御盤のフタ裏に回路図が書いてあると思いますので、確認して下さい。)

ここに電気が来ていて押しボタンスイッチ単体テストも良い場合は、電線を調べます。

制御盤の押しボタン端子で(押しボタンスイッチ③がB1、①がB2とつながっている事とします、上記でL1-B1に電気が来ている事とします)L1-B2に電気が来ているか確認します、NGの場合は電線の断線です。

開かない、閉まらない : (L1-B1に電気が来ていて、B3-押しボタンスイッチ②、B4-押しボタンスイッチ④につながっている事とします)テスターをL1-B2に当て押しボタンスイッチの開を押した時電気が来るか、L1-B4の時押しボタンスイッチの閉を押した時電気が来るか確認します、NGの時は電線の断線です。

OKの時は他原因で動かない状態になっています。

ヒューズが切れる : 漏電テスターがあれば確認が簡単ですが、仕事上使って見える方しか持ってないと思いますので、他の調べ方を紹介します。

押しボタンスイッチを外します、制御盤のB1~4(4本共)外します、短い電線で結構ですので4本用意して制御盤と押しボタンをつなぎ操作してみます、これでも切れる場合は他の原因です。

OKの場合まず電線を調べます(途中電線の被覆が破れて中の銅線がむき出しになっていればそれが原因です)悪い場所がわかればそこを処理すれば完了です。

良くある事例ですがネズミが電線を噛み切る事が結構有ります。

押しボタンスイッチを外した時の雨水などで濡れていたり、スイッチが錆びていたりすれば押しボタンスイッチが疑わしいです、水が入らない様に処理して様子を見てみます。

順次 他要因の調査方法を紹介していきます。